肩こり緩和効果が期待できるツボ
デスクワークの自分の体の調子は自分が一番よくわかっているはずです。
しかし、肩こりとなると、辛くてもがまんをしたり、「もともと肩がこりやすい体質だから」とあきらめてしまう人も少なくありません。
でも、肩こりは自分の心がけ次第で軽減することは可能です。
姿勢をよくする、運動をするなど、生活習慣を振り返ることで肩こりの改善を目指すことができます。
また、ツボをマッサージすることも肩こりの改善に有効です。
今回は肩こり解消法のひとつとして、自分でできるツボ健康法をご紹介いたします。
首、手、肩などにある、肩こりに関係するツボをマッサージしてみましょう。
☆病気未満の症状におすすめのツボ療法
ツボ療法は、東洋医学の数千年にもおよぶ歴史と伝統のある健康法です。
WHO(世界保健機構)もその有効性を認めており、ツボを使った鍼やお灸は欧米でも人気があります。
鍼灸の道具を使わなくても、指で押したり、もんだり、さすったりするだけで痛みが軽減することもあり、指圧やマッサージも多くの人が受けています。
人は、体は健康でも、体調がすぐれなかったり、疲れがとれなかったり、あるいはイライラして精神的にスッキリしないことがあります。
ツボ療法は、こういった病気未満の状態の改善に役立ちます。
また、肩こり、腰痛、冷え症などにも効果があります。
さらに、症状がなくても自然治癒力を高めたり、体質を改善したりする目的で、ツボ療法が行われることもあります。
☆ツボマッサージをおすすめする理由
朝から晩まで長時間のデスクワークで同じ姿勢をとり続けると、肩の筋肉がこり固まってしまいます。
この筋肉をほぐすためにおすすめしたいのが、自分で行うツボマッサージです。
ツボを外から刺激することで筋肉のうっ血をとり、さらに硬くなった筋肉をほぐすことで、肩こりをやわらげることができます。
肩がこった状態を放置したままで仕事を続け、それが長期間続くと肩こりが慢性化し、腕や肩甲骨のあたりまでコリが出るようになります。
こうなると、自分でケアするのは難しいです。
「肩が重くなってきたな」と思ったら、デスクワークの手を休めてツボマッサージを行い、肩こりがひどくならないようにしましょう。
ツボマッサージは、やり方さえわかれば誰にでも手軽にできるのが特徴です。
東洋医学の「気」と「経穴(ツボ)」について ツボマッサージの方法をご説明する前に、ツボについての基礎知識を少しだけご紹介しておきます。
東洋医学が考える健康は、体の中の「気」「血」「水」のバランスのとれた状態をいいます。
「気」という概念は、「病は気から」とか「元気」という言葉がありますが、この「気」と同じで、東洋医学では「生命エネルギー」ととらえています。
そして体の中には、「経絡」という「気」の通り道が全身をめぐっていいます。
気の流れが悪くなると、経絡上の「ある部分」が冷たくなったり硬くなったり、あるいは痛くなったりするなど、なんらかの反応が現れます。
この反応が現れる箇所がツボ(経穴)と呼ばれる部分です。
経絡は胃経、大腸経、胆経、膀胱経など全部で14本あります。
その経絡上には左右合わせると600以上のツボが存在し、ひとつひとつに名前がついています。
☆ツボマッサージはなぜ体にいいのか
肩こりや腰痛、頭痛などの場合は、ツボを刺激することで血行がよくなり、痛みやこりが緩和します。
これは、筋肉中にたまった乳酸などの疲労物質が血液によって洗い流されると同時に、酸素や栄養分が供給されるためです。
また、ツボを刺激すると、体の中では次のような変化が起こります。
ツボの近くにある神経が反応し、枝のようにつながったその先の神経にも伝わります。
さらに、脊髄の中枢神経を経由して脳に刺激が伝わります。
その後、自律神経をコントロールしている脳の視床下部に刺激が届きます。
すると、視床下部から指令が発せられ、ツボと関連のある臓器や器官の働きが回復するという仕組みになっています。
☆ツボマッサージの注意点
ツボマッサージを行うタイミングは、肩こりが気になるときで大丈夫ですが、妊娠している方やお酒を飲んでいる時、ツボ周辺に外傷がある場合などは避けましょう。
指先を使うので、爪は整えておくことも大事です。
女性などで爪を伸ばしている人は、ツボ押し用の棒も市販されていますので、使用するとよいでしょう。
また「これでもか」というほど強く押す必要はありません。
筋肉にダメージを与えてしまうおそれがあります。
痛みを感じるほど強く押すのではなく、指の腹をつかってじんわりと押します。
自分が心地よいと感じる強さがベストです。
一押しの時間は約3秒です。
じんわり3秒かけて押して3秒休む、をリズミカルに繰り返します。
回数は5回程度を目安とするとよいと思います。
ツボマッサージは、前述のように「肩がこったな」と思ったときにいつでも手軽に行うことができます。
ただし、しっかりと行いたい時は、体が温まっている入浴後や、落ち着いてできる就寝前などもおすすめです。
☆ツボの位置はおおよそでも大丈夫
専門家でない人は、ツボの正確な位置がわからくて当然です。
ピンポイントでなくても、ツボ周辺を刺激するだけでもいいでしょう。
目安となるのは骨や関節、筋肉などです。
ツボが存在する場所は
〇筋肉と筋肉の間
〇筋肉と腱の間
〇筋肉と骨の間
〇骨がでっぱっているところ
〇脊柱の両側
〇関節などの膨らんでいる部分 などです。
ツボマッサージで肩こりを癒やそう 肩がこったとき、指先で押すと鈍い痛みが広がる場所があります。
そこがツボと考えられます。
肩こりに効くツボをいくつかご紹介しますので、試してみてください。
【肩井(けんせい)】
みなさんは肩がこると、自然と反対側の手で肩のあいだをもんだり、たたいたりしていませんか?
ちょうどそのあたり、肩の先から首の付け根の真ん中あたりにあるツボが肩井です。
肩井を刺激することで血行を促し、肩の筋肉がほぐれます。
【天柱(てんちゅう)】
うなじの髪の生え際にある真ん中のくぼみから、左右に指2本分の場所にあるのが天柱です。
天(頭)の柱を意味し、自律神経を整える働きがあります。
首のこり、肩こり、眼精疲労にも効果があります。
【風池(ふうち)】
うなじの真ん中のくぼみ(ぼんのくぼ)の左右にある、太い筋肉の外側にあるのが風池というツボです。
親指をツボにあて、その他の指で頭を支えながらゆっくり持ち上げるように押しましょう。
首のこわばりをとる効果があり、後頭部への血のめぐりもよくなるので、目の疲れ、頭痛にも効きます。
また、風池と天柱は痛みをとるだけでなく、予防にも効果があります。
【肩外兪(けんがいゆ)】
肩甲骨の内側の上の角に位置するツボです。
首から肩にかけての筋肉をリラックスさせる効果があります。
【肩中兪(けんちゅうゆ)】
首を前に倒したときに出っ張る骨から、左右に指3本分の位置にある肩中兪は、肩甲骨まで広がったがんこな肩こりに効くツボです。
【欠盆(けつぼん)】
デスクワークは肩の前側がこりやすいのですが、そんなときは欠盆というツボを押してみましょう。
鎖骨の中央部で骨のすぐ上が欠盆です。
【合谷(ごうこく)】
肩こりに効くツボは手にもあります。
合谷は親指と人さし指の間にあるツボで、両方の指の骨が交わる少し手前にあります。
反対側の親指でつかむように押します。
【手三里(てさんり)】
パソコンなどを長時間使うと、腕の疲れが肩こりを引き起こす場合があります。
そんなときに覚えておきたいツボが、手三里です。
手三里はひじを曲げるとできる横しわから、指3本分ほど手首側に進んだ腕の骨の際にあります。
反対側の手の親指で押します。
腕の疲労回復と、自律神経を整える作用もあります。
【外関(がいかん)】
肩から首、背中など広い範囲の肩こりに効くのが外関という手のツボです。
手の甲側の手首の中央から指3本分肘側に上がったところにあります。
ツボマッサージは自律神経を整え、血液の循環をよくするのに最適な健康法です。
自分自身の体調をみながら、普段の生活に気軽に取り入れてみてください。
あまり難しく考えることはありません。気持ちがいいと感じるならば、それは体が求めているということで、ツボマッサージがうまくいっているということです。
気持ちを楽に、リラックスした状態で、呼吸を合わせながら刺激するようにしましょう。
そして肩こりに負けない体づくりを目指してください。